声にして、初めてわかること
日常生活では、自分の考えを伝えることを「声をあげる」と言います。
黙っていては伝わらない。だから勇気を出して、声をあげる。
英語の学習でも、これと少し似たところがあるように思います。頭の中でわかっているだけではなく、実際に声にしてみる。その段階を通らないと、なかなか口から英語が出てこないことがあります。
英語の知識は十分にあるのに、話そうとすると言葉が出てこない。
そんな人は意外に多いものです。
単語も知っている。文法もわかっている。英文を読めば意味も取れる。それなのに、いざ話そうとすると、口の周りが動いてくれない。
頭は準備万端なのに、口だけが「その話は聞いていません」という顔をしているような状態です。
これは、英語だけの話ではありません。
僕が20代の前半だった頃、ふとしたきっかけで、先輩から新聞記事を声に出して読むように言われたことがあります。
新聞なら、毎日読んでいました。黙って読めば、もちろん内容もわかります。ですから、音読も簡単にできると思っていました。
ところが、実際に声に出してみると、驚くほどスムーズに読めない。
文章の途中でつかえる。漢字の読み方に一瞬迷う。長い一文になると、どこで息を吸えばよいのかわからなくなる。
日本語なのに、です。
あのときは、かなり驚きました。
黙読できることと、音読できることは、明らかに違う。文章を理解する作業と、それを音として外に出す作業は、同じように見えて、実は別の訓練なのだと気づきました。
言語である以上、日本語でも英語でも、音を出す作業は避けて通れないのかもしれません。
もちろん、音読には注意すべき点もあります。
文字を一つひとつ頭の中で音に変えていると、読む速度には限界が出ます。唇を動かしながら読めば、黙読より遅くなるのは当然です。
速読を目指す段階では、音読の習慣がブレーキになるという考え方もあります。
それは、たぶん正しいのでしょう。
ただ、僕たちの多くは、いきなり速読の滑走路に立っているわけではありません。まずは英語を声にするために、唇や舌や顎に、その動きを覚えてもらう必要があります。
頭ではなく、口に覚えてもらう。
これが最初の一歩なのではないかと、僕は考えています。
BEPRO PLUSには、最後に「1-minute Output Challenge」というセクションがあります。
これは任意です。
読まなくても、録音しなくても、誰かに叱られるわけではありません。僕も腕立て伏せの回数を誰かに報告しているわけではないので、そのあたりはよくわかります。
それでも、できれば毎回、わずか1分だけでも声を出してみてほしいと思っています。
実は、僕自身も始めました。
以前購入したソニーのリニアPCMレコーダー、PCM-A10を棚の中から取り出しました。2018年のモデルです。
しばらく使っていなかったので、レコーダーのほうも少し驚いたかもしれません。

その小さなマイクに向かって、英語を録音します。
最初は、なかなかうまくいきません。
発音が気になる。途中で言葉につかえる。自分の声を聞くと、思っていた声と少し違う。何より、誰も見ていないのに、なぜか恥ずかしい。
不思議なものです。
ところが、何度か続けていると、その恥ずかしさも少しずつ薄れてきます。最近では、録音ボタンを押すこと自体が、だんだん日常の一部になりつつあります。
慣れるというのは、たいしたものです。
最初は「1-minute Output Challenge」に載っているサンプルを、そのまま読み上げるだけでもよいと思います。
サンプルには、記事の内容を説明するサマリー型と、自分の反応や意見を述べるオピニオン型の二つがあります。
今日はサマリーを読んでみよう。
今日は少し気分を変えて、オピニオン型にしてみよう。
それくらいの軽さでよいのではないでしょうか。
まずは、借りた言葉でもいいから声を出す。
やがて少し慣れてきたら、サンプルの一部を自分の表現に変えてみる。その先に、自分の言葉だけで1分間話す段階があるのだと思います。
さらに一歩進めて、録音したMP3ファイルを、BEPRO PLUS Membershipのコミュニティ「Who Cares? Output Club」に投稿することもできます。
本名を出すことに抵抗がある場合は、プロフィールの名前をハンドルネームに変えてから投稿するのも一つの方法です。
とはいえ、投稿するかどうかは、その人のペースでよいと思います。
最初から人に聞かせる必要はありません。
まずは自分の声を、自分で聞いてみる。
そこから始めればよいのです。
英語を学ぶというと、僕たちは新しい単語を覚えたり、難しい記事を読んだりすることを考えます。
でも、すでに知っている言葉を、実際に口から出せるようにすることも、同じくらい大事なのかもしれません。
頭の中にある英語に、声を与える。
そのための1分なら、案外短いものです。
もっとも、録音ボタンを押すまでの時間は、なぜか1分より長く感じるのですが。
※ここまで音読の大切さを書きましたが、僕自身もまだ、レコーダーの前で少し緊張しています。これは皆さんへの宿題というより、まず僕が続けるための訓練ノートです。
※「僕ノート」なので、ここでは「私」を「僕」と表記しています。お許しください。
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